オババの夫が亡くなって数年の間、オババと旅行に行く機会が何度かありました。これはその何度かの旅行の中で台湾へ行った時の話です。
その時も突然の電話だったんだけど「テレビを見ていたら台湾というところは景色も綺麗だし食事も美味しそうね。行った人に聞いてもいい所だって言うから私も行きたいので連れて行ってちょうだい」
このときはっきり断れば良かったんだけどちょうど仕事も暇な時期だったのと夫も単身赴任中だったこともあり気軽に引き受けてしまったのが間違いの始まりだった。
台北だけなら個人手配でも良かったんだけど高雄や台中も行きたいとのことでツアーで行くことにしたのですがこれが大きな間違いで・・・
羽田発三泊四日地獄ツアーの始まりです。飛行機に乗って桃園空港で添乗員さんと合流します。ツアーの人数は30人くらいで年齢は若いグループから年配の方たちまでいろいろです。ここから台湾新幹線に乗って一気に高雄まで行き、バスで台北に戻ってくる行程です。
ホームで高雄行きの新幹線が来るのを待っている時、オババが獲物を見つけた肉食動物のような目で一つのグループをじろじろ見ていました。そのグループはどうやら親戚同士でこのツアーに参加しているようでした。60代後半から70代というところでしょうか。
あまりにもガン見しているので「そんなに見ない方がいいんじゃない?」と軽く注意する私を無視してそのグループの方へ歩いていき「私は娘と旅行に参加しているんだけどあなた方はどのようなご関係ですか?」といきなり話しかけに行った。
突然だったのでちょっと怪訝な顔をされたがそのグループのうちの一人が「親戚なんです。ここの3人が姉妹で・・・」と言うとオババはその言葉を途中で遮って「あらー姉妹なのにずいぶん体形が違うのね。お姉さまの方はスリムなのにあなたはずいぶん太っているじゃない?義妹とかじゃなくて実の姉妹よね?あの頭が少し寂しいのはお姉さまのご主人?」
と大きな声で話ながら少し離れたところにいた男性を見た。しかし相手はオババと同年齢位、いい大人なので「そうなんですよ。姉は何を食べても太らないのに私は水でも太っちゃうの」と軽く受け流して話を終わらせようとしたのでオババも「これから4日間よろしくお願いしますね」と言って私のとこへ戻ってきた。
それから新幹線で高雄へ着くまでオババはずーーーとその親戚についてあーだこーだと勝手な推測をたてて私に話していたが、私は初対面の人に太っていると言ってしまうオババの言動があの親戚同士の楽しい台湾旅行を台無しにしてしまうのではないかと心配だった。
が、そんなことは大した問題ではなかったのだ。これは至れり尽くせり台湾ツアー、観光も食事もすべて添乗員さんが連れて行ってくれる。そして中華料理と言えば丸テーブルを囲んでみんなで食べるという普通だったら楽しい時間になるはずだった。
席はあらかじめ決められていて8人掛けだった。運ばれてきた料理をみんなが美味しいね~と言いながら食べてる中、オババはいきなり
「不味い!!!こんなの食べられない。こんなのが美味しいなんて普段どんなもの食べてるんだろうね???」
と小声で言ったつもりの明らかに聞こえる声でオババは言った。そこには静まり返るテーブルと泥でも食べたのか?と言いたくなるような顔をしたオババがいる。
その後の観光でもオババは日本の方が立派だとか、足が痛くて登れないから先がどうなっているか見てこいと私に命令したり添乗員さんにあれこれ苦情を言ったりしていた。ツアーに参加していた他の人たちには本当に申し訳ないことをしたと思っていた。
ツアーの最後、親戚同士出来ていた人や途中でオババに絡まれた60才位の友達同士で参加していた人に「大変だけど頑張ってね」と声をかけられた。
頭の変な人って分かってくれていたなら良かったです。二度とツアーに参加したりしません。本当にすみませんでしたm(__)mと心の中であやまる私。
で、あれやこれや思ったままを口にするはADHDなのか?それなら仕方がないって話だけど違うと思うわ。オババは自分より幸せそうな人に絡むんだから。